地震で屋根が壊れたとき、一番怖いのは雨漏りではありません。
屋根に登ったあなた自身が落ちることです。
2016年の熊本地震のときも、屋根の応急補修中の転落事故が相次ぎました。今回は、7月の猛暑の中での被災です。屋根の上は、転落だけでなく熱中症でも人が倒れる場所になっています。
このガイドは、「命を落とさないための最低限」だけをまとめたものです。
この章は、どうしても登らざるを得ない場合の「最終手段」の情報です。フルハーネス等の墜落制止用器具と経験のない方の屋根作業を推奨するものではありません。可能な限り、第1章の「登らない選択肢」を選んでください。
どうしても登らざるを得ない。その場合は、次の条件を全部満たしてください。
一つでも欠けるなら、その日は登らない。それが現場の判断です。
「まあ、大丈夫だろう」
事故は、この一言のあとに起きます。少しでも迷ったら、その迷いが正解です。降りてください。
今回の地震が2016年と決定的に違うのは、季節です。7月の屋根の表面は素手で触れないほど熱くなり、照り返しで体感温度はさらに上がります。
屋根の上でめまいを起こせば、それがそのまま転落になります。熱中症と転落は、別々の事故ではありません。
| 作業時間 | 早朝だけ。日の出〜午前9時ごろまでに切り上げる。日中はしない。「夕方なら涼しい」は誤解です。屋根は日中の熱をため込んでいます。 |
|---|---|
| 中止の基準 | 環境省の暑さ指数(WBGT)で31以上は「危険・運動は原則中止」のレベル。夏の熊本の日中は、この水準に達する日が珍しくありません。熱中症警戒アラートが出ている日は作業しない、を分かりやすい基準にしてください。 |
| 休憩 | 20〜30分ごとに日陰に降りて休憩。水分と一緒に塩分(塩あめ・タブレット・経口補水液)を。「のどが渇いてから」では遅いです。 |
| 単独作業の禁止 | 熱中症は、本人が「まだ大丈夫」と思っているうちに自覚のないまま倒れる病気です。ろれつ・ふらつき・返事のおかしさは、地上の相方にしか気づけません。 |
| 停電中の注意 | ふだんなら涼しい部屋で休めば戻る初期の熱中症も、エアコンの使えない家や避難所では悪化しやすい。倒れる前に、そもそも無理をしない。それしかありません。 |
| 体調 | 睡眠不足・二日酔い・食事抜きの日は登らない。避難生活が続いているあなたの体は、思っている以上に消耗しています。 |
張ったシートは応急処置です。数週間〜数か月の間には必ず傷みます。「張って終わり」ではなく、業者さんによる本修理の予約までがワンセットだと考えてください。
今回の地震は、本震の後も強い余震が続くおそれがあります。2016年の熊本地震では、最初の震度7の28時間後に、さらに大きい本震が来ました。
参照した資料(2026年7月28日時点)