被災された方向け 安全ガイド|2026年7月 熊本地震

屋根のブルーシート張り 安全ガイド

転落と熱中症。今回は、危険が二重です。

地震で屋根が壊れたとき、一番怖いのは雨漏りではありません。
屋根に登ったあなた自身が落ちることです。

2016年の熊本地震のときも、屋根の応急補修中の転落事故が相次ぎました。今回は、7月の猛暑の中での被災です。屋根の上は、転落だけでなく熱中症でも人が倒れる場所になっています。

このガイドは、「命を落とさないための最低限」だけをまとめたものです。

まず、「登らない」選択肢から
考えてください。
雨漏りはやり直しがききます。転落は、やり直しがききません。

1登る前に、この順番で確認を

(1)業者さんに頼む

(2)自治体の支援を確認する

(3)応急危険度判定を待つ

(4)訪問してくる「屋根業者」に注意する

数字で知っておいてほしいこと
  • 消費者庁に寄せられた脚立・はしごからの転落事故は437件、うち8件が死亡事故。大半が庭木の剪定や屋根等の修理の最中で、50歳以上が7割強を占めます(消費者庁・平成26年12月22日発表)。
  • 2019年の房総半島台風のあとも、千葉県で屋根の補修中の転落による死傷事故が相次いだと報道されています。
  • 屋根に登るのは、それだけで「災害と同じくらい人が亡くなっている作業」だということです。

2それでも自分で作業する場合の最低条件

この章を読む前に

この章は、どうしても登らざるを得ない場合の「最終手段」の情報です。フルハーネス等の墜落制止用器具と経験のない方の屋根作業を推奨するものではありません。可能な限り、第1章の「登らない選択肢」を選んでください。

どうしても登らざるを得ない。その場合は、次の条件を全部満たしてください。
一つでも欠けるなら、その日は登らない。それが現場の判断です。

登る前の10項目チェック

現場で一番危ない一言

「まあ、大丈夫だろう」

事故は、この一言のあとに起きます。少しでも迷ったら、その迷いが正解です。降りてください。

37月の屋根は、もう一つの災害現場です

今回の地震が2016年と決定的に違うのは、季節です。7月の屋根の表面は素手で触れないほど熱くなり、照り返しで体感温度はさらに上がります。

屋根の上でめまいを起こせば、それがそのまま転落になります。熱中症と転落は、別々の事故ではありません。

作業時間早朝だけ。日の出〜午前9時ごろまでに切り上げる。日中はしない。「夕方なら涼しい」は誤解です。屋根は日中の熱をため込んでいます。
中止の基準環境省の暑さ指数(WBGT)で31以上は「危険・運動は原則中止」のレベル。夏の熊本の日中は、この水準に達する日が珍しくありません。熱中症警戒アラートが出ている日は作業しない、を分かりやすい基準にしてください。
休憩20〜30分ごとに日陰に降りて休憩。水分と一緒に塩分(塩あめ・タブレット・経口補水液)を。「のどが渇いてから」では遅いです。
単独作業の禁止熱中症は、本人が「まだ大丈夫」と思っているうちに自覚のないまま倒れる病気です。ろれつ・ふらつき・返事のおかしさは、地上の相方にしか気づけません。
停電中の注意ふだんなら涼しい部屋で休めば戻る初期の熱中症も、エアコンの使えない家や避難所では悪化しやすい。倒れる前に、そもそも無理をしない。それしかありません。
体調睡眠不足・二日酔い・食事抜きの日は登らない。避難生活が続いているあなたの体は、思っている以上に消耗しています。

4ブルーシートの張り方の基本

用意するもの
  • ブルーシート(#3000番以上の厚手。「厚手・耐候」表示のもの。薄いシートは数日で破れます)
  • 土のう袋+砂や土(袋の6〜7分目まで。持ち歩ける重さにする)
  • ロープ(土のうの連結・シートの縛り込み用)
  • 桟木(さんぎ。細長い木材)とビス・インパクトドライバー(使える人だけ)

張り方の基本

  1. シートは棟(屋根のてっぺん)をまたいで張る。破損箇所だけに小さく張ると、上端から雨水が入り、風もはらみます。棟を越えて反対側まで覆うのが基本です。
  2. 重しの土のうは「ロープで数珠つなぎ」にする。単独で置くだけだと風で転がって落ち、下の人に当たります。つないだ土のうを棟をまたがせて両側に垂らし、シートを面で押さえます。
  3. 端部(シートのふち)を重点的に押さえる。風は端から入ります。端の押さえが甘いシートは、必ずめくれます。
  4. 桟木で押さえられるなら、シートの端に桟木をあて、下地までビスで留める。土のうとの併用が理想です。ただし下地の状態が分からない家では無理をせず、業者さんに任せてください。

よくある失敗(これをやると数日で飛びます)

張ったシートは応急処置です。数週間〜数か月の間には必ず傷みます。「張って終わり」ではなく、業者さんによる本修理の予約までがワンセットだと考えてください。

5余震の中では、「中断する勇気」が技術です

今回の地震は、本震の後も強い余震が続くおそれがあります。2016年の熊本地震では、最初の震度7の28時間後に、さらに大きい本震が来ました。

どうか、無理をしないでください。
家は直せます。あなたの代わりは、いません。

6この資料について(必ずお読みください)

参照した資料(2026年7月28日時点)

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